うさぎドロップ

死んだ祖父の隠し子であるりんを預かることとなった大吉。りんは、大吉の祖父が亡くなったため、初めて、大吉たち家族の前に出ることとなった。りんの母親も失踪していた。そこで、りんは、一人ぼっちで大吉たちの家族の前に現れたわけであるが、その時の心境はどのようなものだったのだろう。たった一人で知らない人たちの前にでる。その人たちは、自分を歓迎していない。それどころか、一族の恥だとでもいうような様子でみられる。そんな雰囲気は辛かったであろう。しかし、りんは涙を見せなかった。
そんなりんが涙を見せたのは、祖父(りんの父親)がもう起きることはないと実感したときであった。子どもは、周りの空気を敏感に感じるものである。りんも自分が歓迎されていないことも理解していたはずであったにもかかわらず、泣いたのは、身内の死のとき。本当に、祖父のことを大切に思っていたということが現れたエピソードであると感じた。
誰がリンを預かるかの話し合いは、誰に貧乏くじを引かせるかという押し付け合いとなっていた。実際、嫌なことを決める際にそのようになることは多い。話し合いに臨む前に考えることは、本来ならば、引き取ったらどうするかということを考えるべきなのだろう。しかし、引き取ったらという仮定の話を考える者は少なく、どのようにして、貧乏くじから逃れるかを考えるのである。自分は絶対に、引き取ることはないという前提のの元に。
そんな話し合いを見ていた大吉がりんを引き取ると言う。子どもを育てることは大変だ。だからこそ、りんの母親は逃げてしまったのだろう。そんなことを、同情で引き受けた大吉は、りんを育てることができるのだろうか。

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