No.6
前話から四年後にあたるシーンから始まる。紫苑は十六歳となり、エリートコースから外れてしまった事が示される。中心地ではなく町外れに住み、公園の管理をするのが彼の仕事だ。幼馴染の沙布にも言わない事だが、彼がエリートコースへ進まなかった・進めなかったのは、あの四年前の夜、ネズミをかばった事が原因であった。ネズミは凶悪犯罪者とされて追われるお尋ね者であり、ネズミを犯罪者と知って通報しなかった事で、彼はエリートたる資格と特権を失ったのだ。
そんな彼の管理する公園で、事件は起きる。蜂のような虫に刺された人が、急激に老化して命を落としたのだ。原因不明のその病が、紫苑の同僚をも襲う。紫苑は役人に連行され、その事件について聞かれるものと想っていたのだが、手錠を掛けられ、思想を教育する矯正施設へと連れて行かれそうになる。事件の前、反社会的な事を同僚に、冗談交じりに話していた事を、盗聴されていたのだ。
このままでは全てを奪われてしまう。そこへ颯爽と現れるのが、四年前紫苑に救われたネズミであった。ネズミは背も紫苑より高くなり、たくましく成長していた。何故このタイミングで彼の前に現れたのかは語らない。そして、管理された都市に住む事を示すIDの入ったブレスレットを、追跡から逃れる為に捨てろと言う。これは、紫苑がNo.6に残した全てを捨てろ、という事を意味する。だが、戻れば地獄だ。紫苑は、迷いながらもブレスレットを投げ捨て、ネズミの手を取った。
ネズミに連れられて下水道を通り、辿り着いたのは、おそらく誰にも管理されていないであろう、スラム街のようなところであった。ネズミは紫苑に恭しく、お待ちしておりました、と挨拶をし直した。
この挨拶が何を意味するのか。そして、紫苑のうなじにある不穏な影は。彼の未来への不安と、新しい世界への扉が開く第二話である。