夏目友人帳

 夏目貴志は養父の誕生日にケーキを買いに行く途中、見知らぬ同い年の少年に声を掛けられ、別の町へと連れて行かれる。見知らぬ、というのは多少語弊があって、実は同じ小学校に通っていた元クラスメイトで、名前を柴田という。関係性としては、別に仲が良かったというようなものではない。寧ろ、妖に怯えている夏目を嘘つき呼ばわりし、苛めていた人物なのだ。
 そんな柴田の目的は、想いを寄せる少女・村崎を見せる事だった。何故そこで夏目なのかと言うと、村崎の様子は何処かおかしく、手を握っても全く体温が無い。いつも公園の中にいて、住まいも学校も教えてくれない。見た目は普通の女子高生なのだが、何か普通ではない感じがして、夏目の事を想い出したのだそうだ。
 実に勝手な奴だ、と腹立たしくすらこちらは想ってしまう。昔は莫迦にして苛めていたのに、今更頼ってきたり、いざ彼女は普通の人間ではなく妖だと告げても、再び夏目を嘘つき呼ばわりしたり。夏目は幼い頃苛められたトラウマさえ想い起こすが、それでも柴田の為に、妖を何とかしてやる方法を探すのである。
 何とかする、というのも、村崎は妖として随分と弱っており、そろそろ”遠いところへ行く”のであるが、どうせなら人を食らってやろうと想って、誘い出す為に人の形を取ってみたものの、自分に明るく接してくれる柴田に、心惹かれてしまっていたのだ。
 柴田と村崎は、村崎が消える間際、川辺を一緒に散歩するという約束を果たす事が出来た。それは夏目が何と言われようとも、妖の友達も人間の友達も大切にしたい、という強い意志があっての事だ。こちらが心配になるくらいだが、とても心に響く姿であった。

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