ダンタリアンの書架

 第一次世界大戦後のイギリスのロンドン近郊を舞台とし、華やかな当時の貴族の象徴である図書蒐集マニア(ビブリオマニアと呼ばれ、書籍の蒐集こそが富と家柄の象徴となると考えており、書籍を読む事よりも集める事に情熱を燃やす人々を指す)を題材として、ファンタジー要素を含めたストーリーが織り込まれる。近代イギリスを舞台とした作品はそこそこ見受けられるが、一次大戦後という微妙な時期、加えてあまりアニメ界では注目を浴びてこなかった貴族の書斎を描くのだが、背景の重厚さや、おそらく実際の写真を加工したと想われる時代がかった映像等、なかなか雰囲気のある作品だ。
 これからどのような展開となるかは一話の段階では断言出来ないが、悪魔の力を発揮する奇怪な本”幻書”の力が最も強まるのが満月の夜であり、主人公・ヒューイとダリアンがその本を有する書斎を守ってゆく、という事を考えると、主な事件は夜に起こるものと想われる。その夜の描き方が、非常にいい。近代イギリスの重厚で華やかな屋敷や家具が、夜の闇の中で不気味な影となり、その影から現実にはあり得ない、本から飛び出してきたライオンや象、果てはドラゴンなんかの怪物がいきなり現れるその不可思議な様子が、美しい装丁を施された分厚い本を開く行為そのものを表しているようで、作品の風格を大きく増加させているのである。
 ボーイ(?)・ミーツ・ガールで、少女はちょっとした怪異とも呼べる存在であって、舞台が現代ではない、という条件の上ではよくある作品になりがちだが、背景の重厚さと世界観・時代選びによって、そこから頭一つ抜け出しているような印象がある。

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