幕末機関説いろはにほへと2
秋月耀次郎は、永遠の刺客としての道を共にしたいと言う遊山赫乃丈と共に、北を目指して日光へと歩みを進めている。そこに広がるのは宇都宮での戦の跡で、多くの物が焼け出され、親を亡くした子供達が彷徨う惨状であった。
耀次郎は宇都宮の宿で、道中すれ違った旅芸人と想われる女から、内々に文を渡される。彼女は生まれを、耀次郎所縁の地・高麗の里と言っていた。その手紙は高麗の里の聖天様から託されたものであり、日光にある権現様、つまり徳川家康の霊廟に行くように記されていたのだ。聖天様曰く、徳川家康は耀次郎と同じ、覇者の首を斬る永遠の刺客としての使命を負っていたらしい。江戸の間、覇者の首は日光にある徳川の霊廟に封印されていたのだが、それを持ち去られてしまったが為に、今の混乱があるのだという事も判明する。
その文を読んで居なくなった耀次郎を案じ、赫乃丈は後を追う。そこには覇者の首による力で動く、実態のない化け物と戦う耀次郎がいた。首が収めてあったと想われる祠には、耀次郎の持つ月涙刀と同じものと思しき刀がひと振り置いてある。
逃げろ、と耀次郎は言うのだが、赫乃丈は吸い寄せられるようにその刀を手に取った。瞬間、耀次郎の月涙刀と赫乃丈の刀が共鳴し、化け物は斬れるようになったのだが、霊廟が崩れ始める。間一髪で二人はそこから脱出するが、赫乃丈は刀を手放さなかった。彼女は、刀に呼ばれたと言うのである。
月涙刀を持つ、永遠の刺客・耀次郎と行く道を共にしたい、という赫乃丈の望みは現実となり、彼女も永遠の資格になった瞬間であった。どの様な人物が永遠の刺客たり得るのか、その条件は解らないが、これで赫乃丈も道を後ろに引けなくなった訳である。二人がこれから北で何を斬り、何を成すのか、非常に楽しみである。