幕末機関説いろはにほへと
今話はそれぞれの行き先が示される、分岐点のような様相を呈している。幕末の、様々穴思惑の渦巻く時期である(もう明治と呼ぶべき時代に入ったかも知れないが……)。新政府軍・旧幕府軍の者は元より、それに絡まる覇者の首と、この作品オリジナルの架空の人物達の意志も存在し、ますます混乱を呼んでくる。
覇者の首が取り憑いた榎本武揚は、艦の者には北へ向かう、としか行く先は言えないとするが、負け戦を囲う旧幕府側の侍達に対して、必ずや死より意義ある生を、との言葉を掲げる。そして、榎本に覇者の首を取り憑かせた張本人・茨木蒼鉄は、初めてその意志を語る。”世界に冠たる真の国家を。”と彼は述べた。新政府軍に付く事は出来ないが、旧幕府軍に賛同する訳でもなく、日本を捨てたい訳ではない。正しい日本を作りたい、と言うのである。彼はその為のシナリオを描き、榎本に付いたらしい。
そして、主人公・秋月耀次郎と死闘を繰り広げた神無左京之介である。彼は日本人とイギリス人のハーフであり、今のところ、どちらの国にも愛着というものがない。そんな彼にパークスは問う。お前は誰なのか? 信じるものはイギリスか、日本か? と。そして、真の敵を誰にするかを決めよ、と言うのである。
本作のヒロイン、遊山赫乃丈は、ついに赫乃丈一座を解散。そして、おりょうに言われた、自分の気持ちに気付いていないのか、という言葉から、耀次郎を追い、道を共にする事を決心したのである。
舞台は整い、再び動き出す。北へと上って行く戊辰戦争の戦線と共に、全ての役者が北へと集まってゆく様が、こちらの気持ちを盛り上げるように演出されていると感じた。